続・依頼の流れの問題。

 久々に出ました。依頼箋の流れによる問題。最近は個々に細心の注意をしながら仕事をしてきたつもりだったんだけど、ダメね。これは、なかなか難しい問題だという事を再確認する出来事だった。
 要は、以前から抱えている問題が再燃しただけなので、問題点はあまり変わっていない。指示系統の流れの滞りが、問題を悪化させているだけだと思う。もう少し、要領の良い具体案が作れれば良いのだけど。


 内容はこうだ。


 STの摂食嚥下への介入が必要と考えられる、ペグ&尿カテつきの方が入所された。口腔内の状態は悪く、積極的なマウスケアが必要と考えられ、看護・介護の立場としては、適切な処置を取りたいと考えた。ご本人の為にも、早急に。でも、一連の流れを通していては、なかなか指導はもらえない。少しでも、出来ることを早めにしたい!と考えた。で、依頼が正式に決まる前に、マウスケアの方法だけでも、教えてもらおうとしたのだ。
 もちろん、心意気に賛同した私は、「こういう状態なら、こういうマウスケアをすると良いよ」と口頭で教える。でも、現場の声が届いていないのか、依頼が出される気配は一向にない。それでも、何度も相談を受けるので「このままではいけない!」と思った私は、リハ課長に「こういう状態なので、依頼を出して下さい」と、再度お願いした。課長は、その日のうちにDr.に通し、GOサインを貰った。


 何が問題になったのかというと、次の2点だ。

  1. 依頼の流れが数足跳びだったこと。
  2. Dr.が診察する前だったので、Dr.自身が必要性を判断していないのに、現場が勝手に動いてしまったこと。

 うちの施設の場合、ここでの流れは、

  現場→主任→Dr.→リハ課長→ST

 というのが規則。ところが、このケースでは、

  現場&主任→ST(ここで介入が始まる)→リハ課長→Dr.→リハ課長→ST

 と、なってしまった。今回の場合、リスクを伴う行為ではない。けれども、結果的に、責任の所在がハッキリしないまま、ケアがなされることを助長する行為になるのだ。万が一、事故があった場合は、施設全体が状況を把握できていないまま、右往左往する事になる。それは、ご利用者にとっても良くない。


 そこまで分かっていて、何故何度も間違った流れを作ってしまうのか。
 それは、指示系統の対応の遅さにあると思う。


 結局、常に現場にいるのは介護・看護スタッフで、現状をよく理解している。問題点に直面するのは現場だ。ただ流れ作業で仕事をしている人なら、何も気づかないかもしれない。ところが、この施設のスタッフは、意欲の塊のような方々なので、常に真剣。疑問も問題点も、見て見ぬフリはできない性質で、現状をより良くしたいと真剣に願っている。それは、とても良い事で、ご利用者の利益に直結するはず。。。でも、フライングだ。
 結局は、意見や指示が迅速に通る環境設定が必要だと、私は思っている。もちろん、ささやかな意見も声としてあげるが、なかなか。


 私がこの状況で懸念しているのは、「STに直接相談してはいけない」とスタッフが考えてしまうことだ。STが遠い存在(近寄りがたい特別な職種)になる事によって、疑問や問題、ちょっとした質問が出来ないまま、間違ったケアを続けてしまう事が一番の心配なのだ。
 以前、指示を3ヶ月放置された事件があった。その時に当事者が言っていたことに「STに直接話せないから、放置した」とあったからだ。正直、ただの言い訳だと思う。しかし、全体がこういう雰囲気になってしまった場合、ケアの質は最悪な状態になってしまうと思う。


 今後、今回のような事件を起こさないためには、

  1. 必要な処置に対して、迅速な対応が出来るシステムを作ること
  2. STも交えた勉強会やミーティングなどを定期的に行い、現場の素直な意見を出せる機会を設ける(増やす)こと。

 が必要だと思う。時間や人手の制約がある中では、なかなか取り入れ難い現状なのは確かだ。だけど、施設全体(私自身も含む)が持っている熱意を、良い方向に向けるために、今後も頑張りたいと思う。